さよならの朝に約束の花をかざろうの感想を書く
こんにちは。
久々のブログ更新のあんどぅです。
今回はさよならの朝に約束の花をかざろうの感想を書きます。
ネタバレあります。
さよならの朝に約束の花をかざろうの感想
Twitterであの花、ここさけの監督が新作アニメ映画を公開すると広告されていたので、見に行く事にした。
構想から5年、制作スタートから3年。いよいよ明日2/24より #さよ朝 が公開となります。全国縦断試写会などここまで応援してくださった皆様、改めまして本当にありがとうございます。
— 映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』 (@sayoasa_jp) 2018年2月23日
映画館でご覧いただく皆様の #さよ朝みた をつけた感想ツイート、お待ちしております!https://t.co/mO6VJVgvRJ
正直ここ数カ月間・・・いや、一年。
理由も特に無く無気力状態で部屋から出る気力なんてまったく無かった。
だけどアニメ映画は学生時代からかかさずチェックしてきた者として・・・いや、この怠惰な日々の生活の中に少しでも違った風を入れようとして・・・ともかくそんな事を漠然と考えながら見に行った。
どこの地方でも映画は一般1800円ぐらいだろうか?
自分にとっては少々手痛いこの金額を無駄にしない為にも、映画に行く時は必ずと言っていいほど事前にレビューやあらすじをチェックしている。
だが・・・今回はなんとなく。
それすらもめんどくさく感じ何も情報を仕入れないまま見に行った。
物語冒頭
映画が始まり「イオルフ」「ヒビオル」「レナト」・・・分からない用語だらけだ。
この時点で事前情報無しで見に来た事を後悔する。
だが少し話が進んでいくうちに
イオルフ=エルフ的な長寿の一族or不老不死?(後に死人も出るので不死では無い模様。金色の髪が特徴で正体を隠すために後々茶髪に染める)
ヒビオル=布を織る時に様々な色を使い分けて文字のように読む事が出来るイオルフの伝統工芸?日記のように使っている事から「日々織る」から来てるのかな?
レナト=ドラゴン(謎の病、赤目病で暴走しがち。結局赤目病が何なのか最後までよくわからなかった。)
・・・となんとなく話が掴めてきた。
序盤の日常風景で仲良し三人組のうちの二人がくっついて残りが影から覗き見するどこかで見たような展開に、少しマンネリ感を感じつつもそこはあまり深く掘り下げられずに次の展開へ移行する。
村が襲われ。女は捉えられ。主人公だけは運よく難を逃れる。
うん・・・・よくある話だね。
難を逃れ森を彷徨っているうちに、盗賊に襲われた村で赤ちゃんを抱いた女性の死体を発見する。
ここで自分の状況も危ういのに赤ちゃんを助けようとする主人公に感情移入出来ない。
自分が変なのか?一般人はこの場面普通は助けるのか?と自問自答し映画の内容に身が入らなかった。
だが赤ちゃんを抱いた母親が死後尚強く抱きしめなかなか指が外れない描写を見て、ここまで抱いていたこの映画に対する薄っぺらさ?を疑う気持ちが無くなる。
無事赤ちゃんを母親の手から連れ出した後、ミルクを求めヤギ小屋に忍び込んだ民家に滞在する事になる。
ここの家主の強い口調に一瞬不安を覚えつつも、食事をご馳走してもらい無事仕事まで紹介してもらう所でホッとしている自分がいた。
見事に主人公に感情移入していた。
そのまま数年の時を民家で過ごしたある日。
故郷の特産品であるヒビオルが主人公の勤めている店に流れてくる。
同郷の仲良し三人組の女の子が王子と婚姻させられると書かれたヒビオルを見て、今までの生活を捨て助けに行く事にする主人公。
もちろん拾った子供・・・エリアルを連れての旅。
やだやだ病を発病する幼い子供と長い寿命を持つことから周囲から奇異の目で見られる訳アリな母親の二人旅。
始まる前から苦難の連続が予想される旅だったが、旅の途中で同郷の仲良し三人組のもう一人の男と出会い案外スムーズに進む。
そして故郷の仲間達と再会し幼馴染の奪還の為、王子の結婚パレードを襲う事になる。
そして途中まで奪還に成功したが、脱出の最中に幼馴染と王子の子供が既に出来ている事を告げられる主人公。
「逃げられないよ・・・」
と幼馴染に告げられた時のどうしようもなさ。
もう知るか。とっととその女を見捨てて逃げちまえと思う自分。
そんな事は関係無しに迫って来る追手の兵士。
偶然その場に居合わせた知り合いの行商人の助けと、幼馴染の捨て身の時間稼ぎでなんとか主人公は逃げ切る事が出来るが奪還作戦は結局失敗に終わり、仲間たちは王都に残る事に。
この時の幼馴染の時間稼ぎの方法が、自分のお腹に髪留めをあて自分と王子の赤ちゃんを人質にする方法で狂気を感じさせ、後々闇落ちしそうな予感を感じる自分・・・
そして子連れの自分は足手まといになると告げられる主人公・・・
元居た民家に戻るのも迷惑になるし、新天地へと旅立つ事に。
ここまでがエリアルの幼少期の話で、普通の映画なら引き延ばして既に一本分のボリュームぐらいあるんじゃないか?という密度。
それでもまだ半分。
正直ここまでは前座だった。
このさよ朝という作品の一番の見どころはこれからだったんだ。
新天地の鉱山の町
エリアルが成長し青年になった事で鉱山で働くようになる。
今まで主人公の事をお母さんと呼んでいたが思春期に入るにつれ、「あの人」と呼ぶように・・・
そしてイオルフの特徴から主人公の見た目は変わらず少女のままであるため、周囲には姉弟だと伝えて過ごしていた。
影では身体的特徴があまり似ていない事から実は駆け落ちした恋人同士では?と言われ、それでも日々慎ましく暮らす二人。
ここでの何気ない日常風景が・・・響いた・・・
我が子の笑顔だけを考え毎日ひた向きに働く主人公。
その主人公の優しさが幼い頃に自分に向けられた母親の仕草と重なって自然と涙が溢れてくる。
どの部分が・・・と言うのが説明しずらいのだが、ただひたすらキレイだった。
エリアルが主人公の元を離れ一人立ち
母親に守られ自分の居場所も与えられてきたエリアルが初めて自分一人で居場所を作る為、強くなって母親を守る為、様々な思いを抱えながら王国の兵士になる。
幼い頃主人公と約束した「母さんを守る」という約束を忘れ、母を一人置いて旅立つエリアルに対し最後まで必死に母親であろうと笑顔で見送る主人公。
エリアルが旅立ったその瞬間まで必死に耐え、エリアルの前では最後まで母親であった主人公はエリアルが居なくなった途端自分が何者なのか分からなくなった・・・のか?
正直ここからの描写は展開が早くて自分でも話の内容がかみ砕けていないまま進んでしまったので大雑把な推測でしか語れない。
ともかくエリアルの旅立ちに合わせ幼馴染三人組の男の方と再会する。
この時から幼馴染の男の闇落ちフラグがビンビンに立っており、あっ・・・こいつ死ぬわ・・・としか思えなかった。
とにかく自分が恋人と引き裂かれ苦しんでいる間呑気に子育てをしていた主人公が許せないとの事。
我が子が旅立った喪失感から自暴自棄になり、再度攫われ王女となった幼馴染の奪還作戦に協力する事となる。
王都襲撃
隣国を垂らし込み王都を襲撃するように暗躍し、その隙に王女となった幼馴染を奪還する作戦だったが、その襲う予定の王都はエリアルが兵士として働き家庭も築いている王都だった。
救出の為に王城へ向かう主人公と兵士として戦うエリアルがすれ違うも、戦場なので一瞬で見失ってしまう。
戦場で迷う中、主人公が女性の悲鳴を聞き駆けつけるとそこはエリアルの家で陣痛に苦しむエリアルの妻が居た。
ここで主人公は出産を手伝うのだが、自分は・・・あれ?王女の奪還は?やる事他にあるよね?・・・と気が気ではなかった。
ともかく無事エリアルの子供・・・主人公の孫が生まれ戦場で傷ついたエリアルも介抱・・・
主人公は囚われの王女と行方を晦ます事に。
自分の中では主人公の出産立ち合いシーンが少し強引に感じたが、物語的には概ね全部丸く収まる事になる。
正直ここで終わればそこそこな佳作かな?という評価で終わっていた。
だけどここじゃ終わらなかったんだ。
エリアルとの別れ
時が流れ数十年後・・・最初にヤギ小屋に忍びこんだ農場に場面が移る。
そこにはエリアルの子孫達が暮らしていた。
エリアルの妻は既に他界し、出産に立ち会った子は既に立派なお母さんに。
そして当のエリアルはおじいさんになってベッドで寝たきりの生活。
主人公だけは相変わらず少女の姿のままで周りの時間から取り残された事を感じさせる。
そしてエリアルの旅立ちの瞬間に立ち合い、映画冒頭の
「愛すれば本当の一人になってしまう。」
を体現する。
母親である自分は泣かないと約束していた主人公が、最後の最後に約束を破ってしまうその瞬間に思わず自分も涙。
そして本当の一人になったとしても愛して良かったと言い切る主人公にまたもや涙。
壮大な母の物語だった。
声優への感想
入野自由
自分がこの作品で一番おっ?となったキャステングである入野自由。
有名どころで言えば千と千尋の神隠しの「ハク」
キングダムハーツの「ソラ」
そして岡田監督の過去作であるあの花の「じんたん」
ただ・・・今作では自分がこの声優に注目し始めた切っ掛けである言の葉の庭の「タカオ」のイメージが強く感じられた。
あの心の底から絞り出すような青年声をもう一度聞けた事に心の底で震えを感じる自分であった。
茅野愛衣
何と言ってもこちらも岡田監督の過去作であるあの花の「めんま」役で出ていたのは記憶に新しい。
お互いメインキャラでありながら本編での絡みは無いが、「じんたん」と「めんま」のあの花の二人がが再び共演している事に喜びを感じるべきであろう。
石見舞菜香
本作の主人公を演じており、気になって調べてみたところ正直過去に出演していた作品はパっとしない物ばかりだったが、そんな実績の少なさを感じさせない名演技だった。
特に印象的だったのが話が進むにつれ主人公が少女から母親へ成長するのだが、その成長に合わせ声に力強さや安心感が増している所に気づいた時はプロの仕事を感じた。
総評
赤目病が未解説な所、終盤の展開が多少強引な点など多少気になる所はあったが、見終わった後・・・なんとも言えない余韻を感じた。
ひた向きに子の為に働く母とその愛情に気付かない子・・・多くの人に突き刺さる場面が印象的で、おおかみこどもの雨と雪を彷彿とさせるような作品だった。
ただの恋愛物かな?・・・とたかをくくって見に行ったがそんな予想を大きく上回り近年稀にみる本当に「泣ける」映画と言えるだろう。