現役デザイン講師が語るデザインとアートの違い
こんにちは。
つい先日まで引きこもりゲーマーでしたが、現在田舎でデザイン講師をしているあんどぅです。
実は先日飲み会の場で一般の方にデザインとアートの違いを話した所・・・
「それ・・・面白いやん!」
・・・と思ったよりも良い反応があり、折角なのでデザイナー目線からアートとデザインの違いをまとめてみました。
デザインとアートの違いって
皆さんはデザイナーとアーティストにどんなイメージを持っていますか?
僕の中のイメージは・・・
■浮世離れしている
■変人
■理解できない感性
■一つの分野で特化しているけど社交性無いし根暗だし話長いし・・・etc
・・・あんまり良いイメージ無いな。
まぁ大抵の人も同じようなイメージを持っている事でしょう。
ですが自分がデザイナーになって思ったのは、デザイナーの人達は比較的常識人の割合が多い事に驚きました。
逆にアーティストは話が出来なかったです(体験談)
もちろん個人差もありますが、何故そのような違いが生まれるか・・・そこにはデザインとアートの性質の違いが関係しています。
アートは・・・自己表現 デザインは・・・伝える表現
画像引用:建築とアートを巡る瀬戸内旅行 Chikako Murakamiさん | Compathy(コンパシー)
まずアートは100%意味の分かる物である必要はありません。
自分の中にある知識や感情を物として吐き出す事を「アート」と呼び、他人に伝わらなくてもそれはアートです。
趣味で書いた絵や駅前の路上ライブもアートと言えるでしょう。
画像引用:Webデザイナーとは?Webデザイナーの仕事内容と将来性 - インターネット・アカデミー
一方デザインは他人に伝える仕事です。
基本的にそこには受け手が存在し、受け手に分かりやすく伝える為に情報を整理するのがデザインです。
もちろん視覚的に見た人を楽しませるために一見分かりにくい装飾などが入っている場合ありますが、そこにもクライアントの思いや思想が含まれていたり・・・
ともかく自分ではなく他の人の事を考えて情報を整理して作った物がデザインと呼ばれます。
イベントのポスターやwebサイトがそれにあたるでしょう。
このようにアートとデザインには受け手の存在と伝える義務の有無の違いがあります。
デザイナーは受け手の人に伝える為に、まずは他人の常識や価値観を理解する必要があります。
そのため意外にも一般常識に通じ社交性がある人が多いと言う事です。
アートじゃなくてデザインをしたいなら基礎を知る・相手の立場になる
画像引用:「そこ、スペース空いてるね」Webデザイナーとクライアントのあるあるがちょっと切ない | コリス
よくデザインをし始めた人やクライアントからの要望で特徴的なフォントを使う事があります。
もちろんそれが悪い事ではありませんが、文字間や文字その物が持つイメージなど基礎的な事を知らずに使っても良い物はできません。
突然デザインの神が降って来る事なんてもちろん無く、良い物を作る為には配色のセオリーや余白の取り方などをきっちり抑えつつ、どの部分がどう良いか説明出来なければ良いデザインと言えないでしょう。
これからデザインをやりたい人は闇雲にそれっぽい見た目を作るだけでなく、どの部分に気を使ってどう工夫するのかを考えながらデザインすると良いですね。
そして一番大切なのはクライアントの「立場と考え」を自分も理解している必要があります。
■人件費について「コスト」と考えている経営者と、「給料」と考えている社員
■写真の大きさ修正について「簡単」と考えるクライアントと「レイアウトが全部崩れる」と考えるデザイナー
■9~17時の会社勤めについて「夢物語」と考える社会人と「長すぎてダルい」と考える学生
相手の立っている立場で一つの物事でも様々な見方が出来ます。
下の画像はデザイナーや開発者目線に立った広告
この価値観の違いがとても重要で相手の立場に立ってみる事で、良いデザインやキャッチコピーが生まれます。
アートは自分の中と向き合う物で他人の価値観を知る必要は無いですが、もしデザインをやりたいと言うのであれば「相手の立場と考えを理解する」のは必須と言えるでしょう。
・・・とここまで偉そうに長々と書いてきましたが実際の所これは理想論です。
実際にはクライアントから満足のいく情報が得られず「相手の価値観と考え」を理解する前に仕事だけ一人歩きする事もあるし、雇われ経験しかない自分が経営者の考えを理解するなんて不可能です。
クライアントの良いと思った物と自分の良いと思った物が合わずに、妥協して制作する事もあります。
デザインは物を作る時にそう言った色々なしがらみがついてきます。
反対にアートは自分の内側と向き合うだけなので制約が無く好きに作れます。
本当に大切なのは自分が「好きな物を作る事に喜びを感じる(アートがしたい)」のか「作った物で相手を喜ばせたい(デザインがしたい)」のか・・・
その違いを理解してやりたい方を選ぶのが大切でしょう。