映画「聲の形」は「良作」止まりの評価
こんにちは。先日友人と聲の形を見に行きました。
原作は終盤からダレて飛ばしながら読んでいたのですが、オリジナル版を見たときの衝撃を思い出して映画を見に行くことになったあんどぅです。
さてタイトル通り映画単品の感想としては良くも悪くも「良作」と言う所でしょうか。
実は聲の形は「オリジナル版」「読み切り版」「連載版」の3パターンあり、その中の「オリジナル版」の修正されていないエグイ空気感を期待していたのですが、「連載版」の進行だったと言うのも個人的な評価に繋がりました。
原作の性質上仕方がない
原作の内容からして日常生活がメインになり起承転結がハッキリせず、話の波はそこまで大きくありません。
映画化されるにあたって大分テンポを遅くする日常部分がカットされていたのですがそれでも映像にするのに向いていない事は分かり切っていました。
原作の序盤はそれをどうでもいいと感じさせるほどのリアルなエグさが出た空気感、それぞれのリアルな心情が売りだったのですが、それを映像化しようとすると画面として映えない。
なので元々映画は「面白くつくろう」と言うよりも原作の売りを忠実に再現して「空気間を味わってもらおう」そんな形を目指した映画だと感じました。
作品に忠実な演出
幼少期の描写
主人公が川に飛び込んで度胸試ししたり放課後友達と一緒に帰ったり、そういう日常の一部として主人公は聴覚障碍者のヒロインに対する虐めを捉えていました。
なのであえてシリアスな演出にする所を、日常と虐めはそこまで差を付けずに描写していて映画としては違和感を感じるかもしれません。
ですがそこはあえて作品に忠実にしたポイントでしょう。
足元を映す描写
この映画はやけに足元を映す描画が多いのですが主人公は「人の顔を見れない、上を向いて歩くと気持ち悪くなるから下を向いて歩いた方が楽」後半でそんなセリフを言いました。
この足元を映す演出が「主人公目線」を意味しており、そんな細かい所まで作りこんでいるのに驚きました。
声優の熱演
聴覚障碍者のヒロインを演じる早見沙織さんの演技が素晴らしいです。
メインよりも周りのサブキャラの声を当ててるような印象を個人的に持つ彼女ですが聴覚障碍者と言う難しい役回りなのに、しっかり聞き取れない外れた声の演技でも感情が伝わってきて、とても良かったです。
主人公役の入野自由さんは千と千尋の「ハク」やあの花の「じんたん」言の葉の庭の「タカオ」など落ち着いた少年・青年役をする事が多いですが、その落ち着いた声色が昔のトラウマを抱えながらも成長した等身大の高校生にぴったりで印象的でした。
そして個人的に一番気になったのが主人公の親友のブロッコリー頭役の小野賢章さんの演技です。
最近アニメの活動を広げてきて一番有名な仕事がハリーポッターのハリーの吹き替えを担当している人です。
お硬い感じやマジメな感じを担当する事が個人的な印象では多い彼ですが、最近悪ノリや感情的な演技も目立つようになってきて、今回はそんな彼の演技に作品での箸休めの役割があったのだと感じました。
大衆向けではないけど作りこまれている
そんな印象を受けました。豪華な声優陣に細かい演出。
娯楽として純粋に「映画」として楽しむとしたら「良作」止まりですが、映画と原作を合わせて楽しむ。
最近顔を出してきた声優の新しい演技を楽しむなど、一歩だけ踏み込んだ目線で楽しむとこの映画を十分に楽しめると思います。